毎月の集計や表記ゆれの修正に、時間を取られていませんか。本記事では、ChatGPTにExcelの関数作成・データ整形・VBAマクロを任せる指示例を、そのままコピーできる形で紹介します。ポイントは、使い方を教わるのではなく「作ってもらって検算する」ことです。この型を覚えれば、Excel作業の多くを短縮できます。
ChatGPTでExcel業務はどこまで楽になるか
ChatGPTの効果が大きいのは、関数作成・データ整形・マクロ生成の3場面です。いずれも「調べる時間」と「試行錯誤の時間」を大幅に減らせます。
| 場面 | 従来のやり方 | ChatGPT活用後 |
|---|---|---|
| 関数作成 | 構文を検索して試行錯誤 | 日本語で依頼して検算する |
| データ整形 | 手作業や置換の繰り返し | 変換ルールを渡して一括処理 |
| マクロ | 学習コストが高く断念しがち | 目的を伝えてコードを生成 |
コツは、関数の使い方を「教えてもらう」のではなく、完成品を「作ってもらう」ことです。解説を読んで自分で組むより、出てきた式を検算する方が速く終わります。ChatGPTは指示文(プロンプト)の質で結果が変わるため、各場面の指示例を順に見ていきます。
場面1|関数を日本語で作ってもらう指示例
関数は「表の構成+やりたいこと+Excelのバージョン」の3点を伝えれば作れます。返ってきた式を貼り、2〜3件だけ手で検算すれば完了です。
指示例は次の通りです。
A列に日付、B列に商品名、C列に売上金額が入っています。
E1セルに、今月の売上金額だけを合計する関数を作ってください。
Excelは Microsoft 365 を使っています。
手順は3ステップです。
- 表の構成を列ごとに伝える(A列=日付、B列=商品名など)
- やりたいことを一文で書く
- 返ってきた式を貼り、2〜3件を電卓や目視で検算する
検算は省かないでください。参照範囲が1行ずれる、条件の解釈が違うといった誤りは一定の割合で起こります。合計なら手計算と突き合わせる、件数ならフィルタで数えるなど、確認方法もセットで決めておくと安全です。
エラーが出たときは、自分で原因を考える前にエラーメッセージをそのまま貼りましょう。「#VALUE!が出ました。式は=〜です」と貼るだけで、原因の説明と修正版が返ってきます。
場面2|データ整形・表記ゆれの一括処理
表記ゆれの統一は、変換ルールに加えて変換例を2〜3件見せると精度が上がります。会社名の統一、全角半角の混在、日付形式のばらつきが典型例です。
以下の会社名リストの表記を統一してください。
ルール:
・「(株)」「㈱」は「株式会社」に直す
・前後の空白は削除する
変換例: (株)山田商事 → 株式会社山田商事
対象リスト:
(ここに貼り付け)
量に応じて頼み方を変えるのがコツです。数十〜数百行なら、リストを直接貼って変換結果をもらいます。数千行を超える場合は、データではなく「置換の手順」や「変換用の関数」を作ってもらい、Excel側で実行する方が確実です。
整形後は、件数が変わっていないかを必ず確認します。行の脱落や重複は起こりうるため、変換前後の行数を比べるだけでも事故を防げます。
場面3|VBAマクロの生成と動かし方
マクロは「目的+シート構成+完成条件」を伝えれば、動くコードが返ってきます。VBAの文法を知らなくても、実行手順さえ覚えれば使えます。
Excel VBAのマクロを作ってください。
目的: 「売上」シートのデータを部署ごとに別シートへ振り分ける
シート構成: 1行目が見出し。A列=部署名、B列=担当者、C列=金額
条件: 部署名ごとに新しいシートを作り、見出し行もコピーする
動かし方は次の手順です。
- 対象ファイルのコピーを作り、コピー側で試す
- Alt+F11でVBAエディタを開く
- メニューの「挿入」→「標準モジュール」を選ぶ
- コードを貼り付け、F5キーで実行する
- 保存時は「マクロ有効ブック(.xlsm)」を選ぶ
必ずコピーで試してください。マクロには元に戻せない操作があり、Ctrl+Zが効かない場合があります。実行時エラーが出たら、エラー番号とメッセージ、黄色く止まった行を貼って再質問すれば修正版が返ってきます。
ファイルを直接読み込ませる方法と注意点
ChatGPTにはExcelファイルを添付して、集計や整形を直接任せる方法もあります。2026年時点では有料プランを中心に利用でき、無料版は回数などに制限があります。
手順は簡単です。
- 入力欄のクリップアイコンからxlsxファイルを添付する
- 「このファイルの部署別売上を集計して表にしてください」と指示する
- 結果を確認し、必要ならファイルとしてダウンロードする
貼り付け作業が不要になる一方、注意点が2つあります。1つ目は検算です。読み込み時に行が欠けることがあるため、合計値や行数を元データと突き合わせてください。2つ目はデータの中身です。顧客情報を含むファイルをそのまま添付せず、次章のルールに従ってください。
社外秘データを扱うときのセキュリティルール
決めることは2つです。「学習に使われない設定・プランを使う」ことと、「入力してよいデータの線引き」を社内で明文化することです。
無料版やPlusでは、入力内容がAIの学習に使われる場合があります。設定画面から「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにしましょう。ChatGPT TeamやEnterpriseなどの法人プランは、既定で入力内容が学習に使われません(2026年時点)。
そのうえで、データの線引きを決めます。
| データの種類 | 入力 | 対応 |
|---|---|---|
| 一般的な数式・マクロの質問 | 可 | そのまま入力してよい |
| 社内の売上・在庫データ | 条件付き | 学習オフ設定か法人プランで |
| 顧客名・個人情報 | 不可 | 「A社」などダミーに置き換え |
実務では、列名だけ伝えて中身をダミーにする方法が有効です。「A列=顧客名(ダミーでA社、B社)」と伝えれば、実データを渡さずに式やマクロを作れます。
うまくいかないときのプロンプト修正パターン
期待した答えが返らないときは、次の4パターンで大半が解決します。指示文をゼロから書き直すより、追加情報を渡す方が速く直ります。
- エラー文を全文そのまま貼る
- 前提を追加する(Excelのバージョン、表の実例2〜3行)
- 依頼を小さく分ける(1回の依頼は1処理にする)
- 途中経過を伝える(「ここまで動いた。この行で止まる」)
研修の現場でよくあるつまずきは、エラーを自分の言葉に言い換えて質問することです。「なんかエラーが出ます」では原因を特定できません。エラーメッセージと使った式・コードをそのまま貼る方が、要約するより正確に伝わります。
指示文の組み立てに不安がある場合は、型から覚えるのが近道です。基本の型は、関連記事のプロンプトガイドで解説しています。
よくある質問
無料版のChatGPTでもExcel業務に使えますか?
使えます。関数作成やデータ整形の指示は、無料版でも十分実用的です。ただしファイル添付の回数などに制限があり、学習オフの設定も自分で行う必要があります。業務で毎日使うなら有料プランを検討してください。
関数とマクロはどちらを頼むべきですか?
まず関数、足りなければマクロの順で考えてください。集計や条件分岐は関数で足りる場合がほとんどです。シートの振り分けやファイルの一括処理など、操作をともなう作業はマクロが向いています。
ChatGPTの答えが間違っていることはありますか?
あります。もっともらしく見えて、範囲や条件がずれている場合があるため検算は省けません。2〜3件の手検算と件数チェックをルール化すれば、実務上のリスクは大きく下げられます。
ExcelならCopilotとChatGPTのどちらがよいですか?
Excel内で操作まで完結させたいならCopilot、汎用性重視ならChatGPTです。Copilotは画面内で使えて便利な一方、対応プランの契約が必要です。すでにChatGPTを使っているなら、本記事の方法で多くの業務をカバーできます。
まとめ
- ChatGPTの効果が大きいのは関数作成・データ整形・マクロ生成の3場面
- 「教えてもらう」より「作ってもらって検算する」方が速い
- 指示は「表の構成+やりたいこと+バージョン」の3点セットで伝える
- エラーは言い換えず、メッセージ全文をそのまま貼って再質問する
- 社外秘データは学習オフ設定と入力の線引きを決めてから使う
次の一歩は、今週の定例作業から1つ選んで指示例を試すことです。月次集計の関数でも、表記ゆれの統一でも構いません。小さな成功体験を1つ作ると、応用範囲は一気に広がります。
ChatGPTをExcel業務に定着させたい場合は、EMPLAY AI ACADEMYの実践研修で支援しています。指示文の型からマクロ活用まで、自社の業務に沿った演習で学べます。無料相談はこちらからお気軽にどうぞ。
関連記事
- ChatGPT業務活用完全ガイド|中小企業の生産性を劇的に向上させる実践テクニック - ChatGPT業務活用の全体像
- プロンプトの書き方完全ガイド|生成AIの精度を高める7つの型と例文 - 指示文の基本の型
- AI業務自動化の事例と始め方|部署別の活用例と導入ステップ - Excel以外の自動化事例
- 生成AIの情報漏洩リスクと対策|企業が守るべき入力ルールを解説 - 社外秘データを入力する前の確認点
- 飲食店のAI活用アイデア10選|集客・シフト・原価管理を効率化
- 経理のAI活用事例|仕訳・請求書処理・月次業務を効率化する方法