検索広告の主流はレスポンシブ検索広告(RSA)に移り、見出しを最大15本用意する必要があります。いざ書き始めると、3本目で手が止まる担当者は少なくありません。この記事では、RSAの仕組みから訴求軸の整理、見出しの型10選、業種別の例文までを解説します。結論として、先に訴求軸を棚卸しし、型に沿って書き分ければ、15本は無理なく埋められます。
レスポンシブ検索広告(RSA)とは|仕組みと従来型との違い
レスポンシブ検索広告は、登録した複数の見出しと説明文を、Googleが自動で組み合わせて配信する広告形式です。2026年時点で、Google検索広告の標準フォーマットになっています。
広告主は見出しを最大15本、説明文を最大4本まで登録できます。機械学習が検索語句やユーザーの状況に合わせ、成果が見込める組み合わせを選びます。実際の検索結果には、見出しが最大3本、説明文が最大2本表示されます。
従来の拡張テキスト広告は、決めた見出しと説明文がそのまま表示される形式でした。2022年6月末で新規作成と編集ができなくなり、現在はRSAが実質的な唯一の選択肢です。
| 項目 | レスポンシブ検索広告 | 拡張テキスト広告 |
|---|---|---|
| 見出し | 最大15本を登録し自動で組み合わせ | 3本を固定表示 |
| 説明文 | 最大4本を登録し自動で組み合わせ | 2本を固定表示 |
| 表示のされ方 | 検索語句ごとに変化 | 常に同じ |
| 現在の扱い | 標準フォーマット | 新規作成・編集は終了 |
RSAで最初に押さえる原則は1つです。どの見出し同士が並んでも意味が通るよう、1本ごとに独立した文で書きます。「その1」「詳しくは」のような、単体で意味をなさない見出しは避けます。
広告文作成の前に決めること|訴求軸の棚卸し
見出しを書く前に、訴求軸を6種類前後に整理します。15本の見出しは、同じ軸の言い換えではなく、異なる軸の網羅で埋めるのが基本です。
手順は次の4ステップです。
- 検索語句レポートを開き、ユーザーが「誰で、何に困っているか」を書き出す
- 自社の強みを「価格・実績・スピード・品質・オファー・地域」などの軸に分類する
- 主要キーワードで実際に検索し、競合とかぶる軸・空いている軸を確認する
- 軸ごとに見出しを2〜3本割り当て、15本の設計図を作る
| 訴求軸 | 伝える内容 | 見出しの方向性 |
|---|---|---|
| 価格 | 費用の安さ・明朗さ | 「月額◯円から」 |
| 実績 | 導入数・年数・継続率 | 「導入実績◯社」 |
| スピード | 納期・対応の速さ | 「最短即日で対応」 |
| 品質・専門性 | 資格・専門分野 | 「◯◯専門の事務所」 |
| オファー | 無料相談・特典 | 「無料相談を受付中」 |
| 地域 | 商圏の明示 | 「◯◯市で創業◯年」 |
すべて競合と同じ軸で戦うと、価格の比較に引きずられがちです。1〜2本は競合が書いていない軸を入れると、広告文の差別化につながります。
クリック率を上げる見出しの型10選
見出しは型に当てはめれば迷わず量産できます。次の10の型から訴求軸に合うものを選び、15本を埋めてください。
1. キーワード一致型
検索語句と同じ言葉を見出しに入れる、基本の型です。検索した言葉が見出しにあると、ユーザーは自分向けの広告だと認識します。
例:「レスポンシブ検索広告とは」「◯◯市の外壁塗装専門店」
主要キーワードは、15本のうち2〜3本に含めるのが目安です。
2. 数字・実績型
導入社数や年数など、数字で信頼を示す型です。
例:「導入実績◯社の管理システム」「継続率◯%のサポート」
数字は根拠を示せる実数だけを使います。
3. 価格型
費用の不安に先回りして答える型です。料金で比較検討する検索語句に特に効きます。
例:「月額◯円から導入できる」「初期費用0円・追加なし」
4. ベネフィット型
機能ではなく、使った後の変化を言い切る型です。
例:「請求業務を◯割時短」「面倒な経理を丸ごと代行」
5. 課題共感型
ユーザーの悩みをそのまま言葉にする型です。「自分のことだ」と感じさせ、広告への注目を高めます。
例:「採用コストでお悩みの方へ」「人手不足にお困りの企業様へ」
6. 限定・締切型
期限や枠を示して、後回しを防ぐ型です。
例:「◯月◯日まで初回◯%オフ」「先着◯社限定の無料診断」
事実に基づく期限だけを使います。実態のない限定表示は広告ポリシー違反になります。
7. 地域密着型
商圏を明示して「近くの業者」を探す検索に応える型です。
例:「◯◯市で創業◯年の実績」「地域密着の◯◯専門店」
8. 権威・保証型
資格や保証で、失敗への不安を打ち消す型です。
例:「国家資格者が全件対応」「◯日間の返金保証つき」
9. 手軽さ・スピード型
行動のハードルの低さを示す型です。比較検討の初期段階のユーザーに効きます。
例:「最短◯分で無料見積もり」「スマホで完結・来店不要」
10. 行動喚起型
次にとるべき行動をそのまま示す型です。15本のうち1〜2本は行動喚起を入れます。
例:「無料相談を受付中」「まずは資料ダウンロード」
説明文の書き方と文字数のルール
説明文は最大4本、それぞれ半角90文字(全角45文字)以内で書きます。見出しで伝えきれない根拠と具体性を補うのが役割です。
2026年時点の文字数ルールは次のとおりです。
| アセット | 文字数の上限 | 登録できる数 | 同時表示の上限 |
|---|---|---|---|
| 見出し | 半角30文字(全角15文字) | 15本 | 3本 |
| 説明文 | 半角90文字(全角45文字) | 4本 | 2本 |
| パス(表示URL) | 半角15文字 | 2つ | 2つ |
4本の説明文には、次のように役割を分けます。
- 1本目:サービス概要と主要ベネフィット。どの見出しと並んでも成立する内容にする
- 2本目:実績や根拠。数字と固有の強みで信頼を補強する
- 3本目:オファー。無料相談や資料請求など、行動のハードルを下げる
- 4本目:不安の解消。サポート体制や保証で、ためらいを打ち消す
例:「◯◯専門の△△。導入実績◯社、最短◯日で稼働。初期費用0円、無料相談を受付中です。」(全角換算で約40文字)
重要な語句は前半に置きます。画面によっては説明文が1本しか表示されず、後半が省略される場合もあるためです。また、見出しと同じ文言の繰り返しは避け、文体は「です・ます」か体言止めのどちらかに揃えます。
ピン留め機能の使いどころと注意点
ピン留めは、特定の見出しや説明文を決まった位置に固定する機能です。確実に表示したい情報があるときだけ使い、原則は使わない運用が無難です。
使いどころは主に3つです。
- 社名やブランド名を見出し1に固定し、広告の主体を明示したい場合
- 金融・医療など、注意書きの表示が実務上欠かせない業種
- 価格やキャンペーンを確実に見せて、反応を検証したい期間
注意点は組み合わせの減少です。ピン留めした分だけパターンが減り、機械学習の検証余地が狭まります。広告の有効性の評価が下がる一因にもなります。同じ位置に複数の見出しをピン留めすれば、固定しつつ入れ替えの余地を残せます。
広告の有効性(広告品質)の見方と改善
広告の有効性は「未完了」「低い」「平均的」「優良」「最良」の5段階で表示されます。入稿内容の網羅性を測る目安であり、掲載順位を直接決める指標ではありません。
評価は主に4つの観点で決まります。
- 見出しの数が十分か
- 見出し・説明文がキーワードと関連しているか
- 見出しの言い回しが多様か
- 説明文の言い回しが多様か
改善は次の順で進めます。
- 見出しを15本まで埋める(本数不足が最も評価を下げやすい)
- 主要キーワードを見出し2〜3本に含める
- 同じ意味の言い換えを削り、別の訴求軸に差し替える
- アセットレポートで評価の低い見出しを、新しい型と入れ替える
「最良」を追いすぎない|評価と成果のズレに注意
運用の現場では、有効性の評価と実際の成果がずれる場面があります。評価を上げるために訴求を広げた結果、成果が落ちることがあるためです。
たとえばCVに近い検索語句が「◯◯ 料金」に集中しているなら、価格訴求を厚くする方が有利です。ピン留めで価格を出し続け、有効性が「平均的」にとどまっても、成果が良ければその構成を優先します。有効性は抜け漏れの点検に使い、最終判断はクリック率とコンバージョン単価で下します。
なお、オークションに影響するのは品質スコアという別の指標です。品質スコアは推定クリック率・広告の関連性・ランディングページの利便性で決まります。有効性を上げること自体が掲載順位を上げるわけではない、と切り分けて考えます。
業種別の見出し例文集
10の型を業種に当てはめた例文です。◯は自社の実数や地名に置き換え、事実と一致する表現だけを使ってください。
リフォーム・住宅
地域名と価格の具体性が反応を左右する業種です。
- ◯◯市のリフォーム専門店(地域密着型)
- 水回り3点セット◯万円〜(価格型)
- 施工実績◯件・写真公開中(数字・実績型)
- 見積もり無料・即日訪問(行動喚起型)
士業(税理士・行政書士など)
専門分野の明示と、相談ハードルの低さが効きます。
- ◯◯市の税理士事務所(キーワード一致型)
- 顧問料は月額◯円から(価格型)
- 初回相談無料・土日対応(手軽さ・スピード型)
- 相続専門の税理士が対応(権威・保証型)
美容室・サロン
駅からの距離と初回オファーが定番の訴求です。
- ◯◯駅徒歩3分の美容室(地域密着型)
- 初回限定◯%オフ(限定・締切型)
- 髪質改善の専門サロン(権威・保証型)
- 当日予約OK・夜◯時まで(手軽さ・スピード型)
BtoBサービス(システム・コンサル)
導入実績と費用対効果を数字で示すと検討が進みます。
- 導入実績◯社の勤怠管理(数字・実績型)
- 初期費用0円で始める(価格型)
- 面倒な集計を自動化(ベネフィット型)
- 無料トライアル実施中(行動喚起型)
学習塾・スクール
保護者の不安に応える具体性と実名性が効きます。
- ◯◯高校の受験対策なら(キーワード一致型)
- 内申点アップに直結する指導(ベネフィット型)
- 無料体験授業を受付中(行動喚起型)
- 講師は全員◯◯大出身(権威・保証型)
よくある質問
見出しは15本すべて埋めるべきですか?
原則は15本を目指します。ただ、言い回しの水増しで埋めるより、質の高い10本前後で始める方が実務的です。配信後にアセットの評価を見ながら追加すると、結果的に強い15本になります。
広告の有効性が「平均的」のままでも問題ありませんか?
クリック率とコンバージョンが目標水準なら、無理に上げる必要はありません。有効性はオークションで直接使われる指標ではないためです。成果が落ちてきたときの点検リストとして活用します。
1つの広告グループにRSAは何本入れるべきですか?
まずは1本で十分です。RSA自体が組み合わせのテストを内包しているためです。なお登録できるのは、1広告グループに有効なRSA3本までです(2026年時点)。
広告文はどれくらいの頻度で見直せばよいですか?
月1回の確認が目安です。アセットレポートで評価の低い見出しを、未使用の型と差し替えます。一度に全部を書き換えると検証できなくなるため、部分的な差し替えを繰り返します。
まとめ
- RSAは見出し15本・説明文4本を登録し、Googleが自動で組み合わせる標準フォーマット
- 書く前に訴求軸を6種類前後へ棚卸しし、軸ごとに見出しを割り当てる
- 見出しは10の型で量産し、キーワード一致と行動喚起を欠かさず入れる
- ピン留めは最小限にし、有効性の評価よりクリック率とCVで判断する
- 月1回、評価の低いアセットを差し替えて広告を育てる
次の一歩は、検索語句レポートを開いて訴求軸のメモを作ることです。設計図さえできれば、15本の見出しは1時間ほどで書き上げられます。
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