毎日の「フォームの回答をシートに転記して、チャットで共有する」作業に時間を取られていませんか。本記事では、ZapierとMakeを料金・機能で比較し、中小企業の定番自動化レシピ10選と作り方を解説します。結論、最初は無料プランを使い、問い合わせ対応の自動化から始めるのが定着への近道です。
iPaaS(自動化ツール)とは|RPAとの違い
iPaaSとは、クラウドサービス同士をAPIでつなぎ、作業を自動で流す仕組みです。ZapierとMakeはその代表格で、ノーコード(プログラミング不要)で使えます。
「フォームの回答をスプレッドシートに写す」「注文メールの内容を管理表に貼る」。こうしたアプリ間のコピペ作業が自動化の対象です。人がやると数分かかる転記も、設定すれば自動で流れ、漏れもなくなります。
RPAとの違いは、自動化する場所です。RPAはPC画面上のマウス・キーボード操作を再現します。一方iPaaSは、サービス同士を裏側のAPIで直接つなぎます。
| 項目 | iPaaS(Zapier/Make) | RPA |
|---|---|---|
| 対象 | クラウドサービス間の連携 | PC画面の操作全般 |
| 安定性 | API準拠で比較的安定 | 画面変更に弱い |
| 費用の目安 | 無料〜月数千円 | 月数万円〜 |
| 向く業務 | SaaS間の転記・通知 | 基幹システムの画面操作 |
使っているツールがクラウド中心なら、まずiPaaSから検討すると費用を抑えられます。
ZapierとMakeの比較(料金・使いやすさ・拡張性)
結論から言うと、シンプルに始めたいならZapier、複雑な分岐やコスト重視ならMakeです。どちらも無料で試せるので、迷ったら両方触って決めても問題ありません。
| 項目 | Zapier | Make |
|---|---|---|
| 無料枠 | 月100タスク | 月1,000オペレーション |
| 有料最安(年払い) | 月19.99ドル〜 | 月9ドル〜 |
| 対応アプリ数 | 約8,000(公称) | 2,000以上(公称) |
| 画面の形式 | リスト型で直感的 | フロー図型で自由度が高い |
| 学習コスト | 低い | やや高い |
※料金・仕様は2026年時点の目安です。契約前に公式サイトで最新情報を確認してください。
料金の数え方には注意が必要です。Zapierは「アクション1回=1タスク」で数えます。Makeは「モジュール1回=1オペレーション」で、トリガー部分も数に入ります。同じ処理でも消費数が変わるため、枠の数字だけでは比べられません。
使いやすさはZapierが一歩リードです。テンプレートが豊富で、画面の指示に沿って進めるだけで完成します。Makeはフロー図を自分で組み立てる方式で、慣れるまで時間がかかります。
拡張性はMakeが優位です。分岐(ルーター)や繰り返し(イテレーター)を標準で使えます。Zapierにも分岐機能はありますが、上位プラン限定です(2026年時点)。
国産サービスへの対応では、kintoneやChatworkなどに両ツールとも公式アプリがあります(2026年時点)。ただし全体としては海外SaaS中心です。自社で使うツールが対応しているか、先にアプリ一覧で確認してください。
日本の中小企業での定番自動化レシピ10選
最初の1本は「問い合わせフォーム→スプレッドシート記録→チャット通知」が定番です。導入支援の現場では、この初動対応の自動化から始めた会社が最も定着しやすい傾向があります。
- 問い合わせフォーム→シート記録→チャット通知:対応漏れと転記作業をなくす基本形
- 資料請求メール→顧客リストへ自動追加:見込み客の取りこぼしを防ぐ
- 請求書添付メール→クラウドストレージへ保存:経理の「探す時間」を減らす
- ネットショップの注文→受注管理表を更新:売上の見える化が早くなる
- 商談予定→前日にチャットへリマインド:訪問忘れ・準備漏れの防止
- 展示会の名簿→メール配信ツールへ登録:お礼メールを翌日までに送れる
- ブログ更新→SNSへ自動投稿:告知の手間を削減
- アンケート回答→集計シート更新と担当通知:回収状況をすぐ把握できる
- 日報フォーム→シート集計と上長へ通知:報告の確認漏れを防ぐ
- kintoneのレコード追加→チャット通知:業務アプリと連絡手段をつなぐ
問い合わせ対応から始める理由は3つあります。件数が多く効果を実感しやすいこと。失敗しても社内で気づいてカバーできること。そして全員が便利さを体感でき、次の自動化に話が進みやすいことです。
はじめての自動化の作り方(フォーム→シート→通知)
初めての1本は、画面の指示に沿って作れるZapierが手軽です。ここではGoogleフォームの回答をシートに記録し、Slackへ通知する例で説明します。無料プランは1本あたり2ステップまでのため、2本に分けて作ります(2026年時点)。
- Zapierにアカウント登録する(Googleアカウント連携が手軽)
- 「Create Zap」を押し、トリガーにGoogle Formsの「New Form Response」を選ぶ
- Googleアカウントを接続し、対象のフォームを指定する
- テスト回答を1件送り、「Test trigger」で読み込めるか確認する
- アクションにGoogle Sheetsの「Create Spreadsheet Row」を選ぶ
- シートの列とフォームの回答項目を1つずつ対応付ける
- テストで1行追加されたら「Publish」で公開する
- 同じ要領で2本目、「Google Forms→Slack通知」のZapを作る
作成時のコツは3つです。シートの列名は日本語でわかりやすく付け、対応付けのミスを防ぐこと。公開後1週間は手作業と並行し、抜けがないか見比べること。動作が安定してから手作業をやめることです。
無料プランでどこまでできるか
月100件程度の問い合わせ対応なら、無料枠で十分実用になります(2026年時点)。3ステップ以上を1本にまとめたい場合は、Makeの無料プランが有利です。
Zapierの無料プランは月100タスクで、1本あたり2ステップまでです。実行間隔は15分ごとが目安で、秒単位の即時性が必要な業務には向きません。Makeの無料プランは月1,000オペレーションで、1本のシナリオに複数の処理を組めます。
目安を計算してみます。月30件の問い合わせをシート記録+チャット通知する場合、Zapierは2本構成で月60タスクです。Makeなら3モジュール×30件で月90オペレーション前後。どちらも無料枠に収まります。
有料プランを検討する目安は次の3つです。処理件数が無料枠を超えたとき。分岐など複雑な流れを1本で組みたいとき。15分間隔では遅く、数分以内に通知したいときです。
エラー・停止時の運用ルール
自動化は「いつか止まる」前提で運用します。気づける仕組みと、手作業に戻せる手順の2つを先に決めておけば、止まっても業務は続けられます。
- エラー通知の宛先を決める(管理者のメール+チャットの2経路)
- 週1回、実行履歴を確認する曜日を決める(ZapierはZap History、Makeは実行ログ)
- 失敗した処理は再実行機能で復旧し、二重登録がないか確認する
- 連携先のパスワードや権限を変えたら、接続を再認証する
- 停止時の手作業手順を1枚にまとめ、担当者不在でも回るようにする
特に多い停止原因は、担当者の退職やパスワード変更による認証切れです。連携用のアカウントは個人名義ではなく、共有の管理用アカウントにしておくと影響を抑えられます。
AIエージェントとの組み合わせの展望
2026年時点で両ツールともAI機能を強化しており、「判断を含む自動化」が現実になりつつあります。転記だけでなく、内容を読んで振り分ける工程まで任せられる段階です。
たとえばChatGPTやClaudeのモジュールを間に挟むと、問い合わせ文の要約や分類ができます。「フォーム受信→AIが緊急度を判定→高いものだけ電話担当へ通知」といった流れです。返信メールの下書き生成まで組み込む例も増えています。
また、自然言語で指示すると自動化の流れを組み立てる支援機能も、両ツールが提供しています(2026年時点)。ただしAIの判定には誤りもあります。最初は「AIは分類と下書きまで、送信や確定は人が行う」運用が安全です。
よくある質問
プログラミング知識がなくても使えますか?
使えます。どちらも画面操作だけで自動化を組める設計です。ただし管理画面は英語が基本のため(2026年時点)、ブラウザの翻訳機能を併用すると迷いにくくなります。
ZapierとMakeはどちらを選ぶべきですか?
まず1本試したいならZapier、分岐のある複雑な流れや費用重視ならMakeです。どちらも無料で始められるので、同じレシピを両方で作り、画面の好みで決める方法もあります。
日本製のサービスとも連携できますか?
kintoneやChatworkなど主要な国産サービスには公式アプリがあります(2026年時点)。ただし対応の深さはツールごとに差があります。通知だけか、データ更新までできるか、使いたい操作を事前に確認してください。
セキュリティ面は問題ありませんか?
両ツールともOAuthというAPI認証が基本で、パスワードを直接預ける方式ではありません。ただし顧客情報が外部サービスを経由することは事実です。個人情報を扱う自動化は、社内の情報管理規程を確認してから設定してください。
RPAとどちらを導入すべきですか?
クラウドサービス間の連携が目的ならiPaaS、画面操作でしか動かせない業務ならRPAです。費用と保守の手間はiPaaSの方が小さいため、先にiPaaSで済むか検討する順番をおすすめします。
まとめ
- iPaaSはSaaS同士をAPIでつなぐ自動化ツールで、RPAより低コストで始められる
- 手軽さで選ぶならZapier、費用と拡張性で選ぶならMake
- 最初の1本は「フォーム→シート→チャット通知」が最も定着しやすい
- 無料枠の目安はZapier月100タスク、Make月1,000オペレーション(2026年時点)
- エラー通知の宛先と手作業への戻し方を決めてから本番運用に移す
次の一歩は、社内で一番件数の多い転記作業を1つ選ぶことです。それを無料プランで自動化できれば、費用ゼロでDXの最初の実績になります。
問い合わせ対応の自動化や顧客データの一元管理は、EMPLAYのCRM構築支援サービスでも支援しています。ツール選定からレシピ設計、運用ルールづくりまで伴走します。無料相談はこちらからどうぞ。
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