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広告表現の法規制と確認手順|景表法・ステマ規制・薬機法の要点

広告表現の法規制と確認手順|景表法・ステマ規制・薬機法の要点

自社の広告表現が法に触れていないか判断できないまま入稿している——中小企業でWeb広告やランディングページを担当していると、この状態に陥りやすいものです。法務部門がなく、判断の基準を持つ人が社内にいないためです。結論から言えば、広告表現のリスクは「なんとなく強い言葉を避ける」ことでは下がりません。どの法令のどの観点で確認し、その根拠をどこに残したかを仕組みとして持てるかで決まります。

この記事では、Web広告・ホームページ・SNS投稿に関わる景品表示法、ステルスマーケティング規制、薬機法(医薬品医療機器等法)、著作権・肖像権の4領域について、確認すべき観点と、社内の確認フロー・根拠資料の残し方を整理します。個別の表現が違反にあたるかの判断そのものは扱いません。

この記事の位置づけ|法令の解説であり、法的助言ではありません

先に断っておきます。この記事は公表されている法令・ガイドライン・所管官庁の資料をもとにした一般的な解説であり、個別の広告表現について「これは問題ない」「これは違反だ」と判断する法的助言ではありません。法令に抵触するかどうかは、商品の内容、表示の文脈、消費者の受け取り方、根拠資料の中身の組み合わせで決まります。同じ言葉でも、商品が変われば結論が変わり得ます。

そのため本文では「〜に当たるおそれがある」という書き方をしています。実際の可否判断が必要な場面では、弁護士や、所管する消費者庁・厚生労働省・都道府県の担当窓口に、具体的な表現案と根拠資料を示して確認してください。この記事は、その相談の下準備として使うことを想定しています。

広告表現に関わる主な法令を整理する

広告表現の規制は、一つの法律を覚えれば足りる構造にはなっていません。何を売るか、どこに出すか、誰に作らせるかで、かかってくる法令が変わります。まずは全体像を押さえ、自社の広告がどこに触れるのかを把握するところから始めます。以下は主要な法令の守備範囲ですが、網羅ではなく、業種によっては宅建業法や金融商品取引法など業法上の広告規制が別途かかります。

法令・規制おおまかな守備範囲主な所管
景品表示法品質や取引条件を実際より著しく優良・有利と誤認させる表示、過大な景品類の提供消費者庁・都道府県
ステマ規制(景品表示法の指定告示)事業者の広告であることが一般消費者に判別しにくい表示消費者庁・都道府県
薬機法医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器等の広告表現厚生労働省・都道府県
健康増進法食品の健康保持増進効果等について事実に相違する表示・誇大な表示消費者庁
著作権法・肖像権他者の著作物、人物の写真や映像の利用文化庁(著作権制度)ほか

使い分けの考え方はこうです。業種を問わず、ほぼすべての広告に景品表示法とステマ規制がかかると考えてください。そのうえで、健康食品・化粧品・美容機器など身体への作用を訴求しやすい商材なら薬機法と健康増進法を、素材や出演者を外部調達しているなら著作権・肖像権を重ねます。健康食品の広告に「愛用者の声」を載せるなら、効果の訴求として3法が、依頼して書いてもらったならステマ規制が、写真の権利処理として著作権・肖像権が同時に関わります。

景品表示法|優良誤認と有利誤認の2軸で読み直す

景品表示法の表示規制は、品質面の誤認(優良誤認表示)、価格・取引条件面の誤認(有利誤認表示)、内閣総理大臣が指定する表示の3つで構成されます。消費者庁の表示規制の概要では、優良誤認表示として「内容について、実際のものよりも著しく優良である」と一般消費者に示す表示などが挙げられています。自社の広告文をこの軸で読み直すのが出発点です。

優良誤認|言えるかどうかは資料の有無で決まる

品質・成分・効果を実際より良く見せる表示が問題になります。確認したいのは、書いた効果の裏づけ資料が手元にあるかどうかです。景品表示法には不実証広告規制があり、消費者庁長官が期間を定めて、表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとされています。提出がない、または資料が十分でない場合、その表示は不当表示とみなされる扱いです。

つまり「言えるかどうか」は言葉の強さではなく資料の有無で決まる部分が大きい、ということです。レスポンシブ検索広告の広告文の作り方で見出し案を量産する前に根拠資料を棚卸しし、「この一文の根拠はどのファイルか」を対応づけておくと、作ってから全部書き直す事態を避けられます。

有利誤認と二重価格表示

価格や取引条件を、実際より、あるいは競争業者より著しく有利だと誤認させる表示が対象です。つまずきやすいのが「通常価格12,000円→今なら8,000円」のように比較対照価格を併記する二重価格表示です。消費者庁は「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」を公表しており、比較対照価格に何を使えるか、その価格での販売実績がどの程度必要かが示されています。

確認すべきは、その通常価格で実際に販売していた事実と、それを示せる記録の2点です。セール直前の短期間だけ高い価格を付けていた場合などは問題になり得ます。価格の根拠となる販売履歴を施策単位で保存し、迷う設計なら実施前に弁護士か消費者庁の事業者向け相談窓口に確認してください。

「No.1」「顧客満足度第1位」を書く前に

順位や最上級を訴求する表示は、根拠となる調査の中身が問われます。消費者庁は令和6年9月に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表しており、実態調査のページから確認できます。調査を外部に委託した場合でも、表示を行った事業者が景品表示法上の責任を負う立場にある点は押さえてください。

社内で見るなら、調査の実施要領まで遡ります。調査対象は誰か、サンプル数はいくつか、比較対象にどの範囲の競合を含めたか、質問の聞き方が結論を誘導していないか、調査時点はいつか。広告上で出典・時期・対象を読める形で併記できているか。ここが説明できないまま「業界No.1」と書くのは避けましょう。

打消し表示で本文を打ち消せるとは限らない

「※個人の感想です」といった注釈は打消し表示と呼ばれます。強い訴求を注釈で回収できると考えられがちですが、消費者庁は打消し表示とスマートフォンにおける打消し表示について実態調査報告書を公表しており、いずれも実態調査のページに掲載されています。文字の大きさ、本文との距離、スクロールしないと見えない位置かどうかによっては、注釈があっても消費者に伝わっていないと評価される場合があります。

実務上の目安は単純です。注釈を消して本文だけを読んだときの印象が実態と大きくずれるなら、それは注釈の書き方ではなく本文の問題です。スマートフォン実機での見え方を確認してから入稿してください。

ステルスマーケティング規制|広告と分かる表示にする

令和5年10月1日から、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示が、景品表示法上の不当表示として規制の対象になっています。消費者庁のステルスマーケティング規制のページによれば、対象はSNS投稿やレビュー投稿を含むネット上の表示のほか、テレビ・新聞・雑誌等にも及びます。中小企業でも口コミ施策を行っていれば無関係ではありません。

責任を問われ得るのは広告主側

同ページでは、規制の対象は事業者(広告主)であり、インフルエンサー自身は対象外である旨が示されています。「投稿したのは先方だから当社は関係ない」という整理は成り立ちにくく、依頼や指示を行った事業者側が責任を問われ得る構造です。代理店を介しても、表示を行った事業者としての立場は残ります。

依頼時に決めておくこと

インフルエンサーやアフィリエイターに依頼するなら、広告であることをどう明示させるか、誰が確認し、記録をどこに残すかを発注書に落とし込みます。

  • 投稿に「PR」「広告」「提供」など、広告と分かる表記を入れること
  • その表記を、読み飛ばしにくい位置・大きさに置くこと
  • 投稿前に事業者側が内容と表記を確認する手順を設けること
  • 投稿後のスクリーンショットと、依頼内容のやりとりを保管すること

表記の方法については消費者庁が運用基準を公表しています。自社の運用が基準に照らして十分かは、担当者の感覚ではなく原典に当たって判断し、割れる場合は弁護士に確認してください。

レビュー・口コミ施策の線引き

自社サイトへのレビュー掲載やGoogleビジネスプロフィールでの口コミ収集も、依頼の仕方によっては規制の観点が関わります。注意したいのは、特典と引き換えに好意的な内容を求める形、従業員や関係者が一般消費者を装って投稿する形です。Googleの口コミを増やす方法でも触れたとおり、依頼するのは投稿してもらうことまでにとどめるのが基本線です。

薬機法|言える範囲を先に確認してから表現を考える

身体への作用を訴求する商材では、景品表示法とは別に薬機法の観点が加わります。医薬品として承認を受けていないものが疾病の治療や予防、身体機能の増強といった効果を標榜すると、無承認無許可医薬品の広告と見なされるおそれがあります。厚生労働省の医薬品等の広告規制についてには、医薬品等適正広告基準やその解説、広告の該当性に関するQ&Aがあります。表現を考える前に原典に目を通すのが早道です。

「そもそも広告に当たるか」から考える

薬機法の広告規制には、その表示が広告に該当するかという入口の論点があります。厚生労働省は広告の該当性に関する通知やQ&Aを公表しており、上記ページから確認できます。商品ページ、コラム記事、SNS投稿のどこまでが広告として扱われ得るかは掲載の目的や導線で変わり、「コラムだから大丈夫」という整理が通るとは限りません。

化粧品・健康食品は「範囲」から逆算する

化粧品や医薬部外品には、標榜できる効能効果の範囲が定められています。書きたい訴求を先に決めて表現をひねるのではなく、認められている効能効果の一覧を見てから、その範囲内で伝わる言い方を探す順番が安全です。解釈が微妙なら、都道府県の薬務主管課が事業者向けの相談を受けている場合があるため、所在地の窓口を確認してみてください。

いわゆる健康食品には、薬機法だけでなく景品表示法と健康増進法が重なります。消費者庁は健康増進法(誇大表示の禁止)のページで「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を公表しており、冊子版や要約版も掲載されています。体験談やビフォーアフター写真の使い方など、迷いやすい論点がまとまった資料です。

著作権・肖像権|素材と人物の権利処理を後回しにしない

広告クリエイティブで見落とされやすいのが、素材と人物の権利です。画像・イラスト・音源・フォント・文章のいずれも、他者が権利を持つものを許諾の範囲を超えて使えば著作権の問題になり得ます。人物が写っていれば、肖像権やパブリシティ権の観点も加わります。文化庁の著作権施策に関する総合案内ページには、制度の解説やQ&A、相談窓口の案内がまとまっています。

ライセンスは用途ごとに確認する

素材サイトの利用規約はサービスごとに条件が異なります。確認が必要なのは、商用利用と広告利用の可否、二次加工の可否、クレジット表記の要否、利用期間、そして人物写真ならモデルリリース(被写体の許諾)の有無です。無料素材だから自由に使える、という前提は成り立ちません。素材ごとにライセンス種別と取得元URL、購入日を残せば、数年後に出所を追えます。バナー広告デザインの進め方のように外注しているなら、素材のライセンス情報も納品対象に含めましょう。

生成AI素材と、写り込みの扱い

画像生成AIで作ったビジュアルを広告に使うなら、サービスの利用規約と著作権法上の論点の両方を見る必要があります。既存の作品に強く依拠した出力になっていないか、商用利用が規約で認められているか。この領域は生成AIと著作権の考え方で扱っています。難しい論点が多いため、大規模に展開するなら事前に弁護士へ相談してください。

自社で撮影した写真でも、写っている人物の許諾がなければ肖像権の問題になり得ます。従業員が写る場合も、広告での利用について事前に同意を得ておくのが安全です。撮影前に、使う媒体と期間を明記した同意書を用意しておきましょう。

社内の確認フローと根拠資料の残し方

ここまでの観点を担当者の記憶に頼って運用するのは現実的ではありません。人が変われば抜けますし、外注先が変わればさらに抜けます。中小企業でも回せる形にするには、確認する人・確認する項目・残す記録の3つを決め、入稿の手前に固定の関門を1つ置くのが実際的です。完璧な体制を最初から作る必要はなく、まず記録が残る状態にすることを優先します。

確認を3段階に分ける

制作者の自己チェック、社内の第三者による確認、必要に応じた外部専門家への確認、の3段階に分けると運用しやすくなります。制作者は自分の書いた文章の問題点に気づきにくいため、第三者の目を挟むことに意味があります。第三者は法務の専門家である必要はなく、チェックリストに沿って機械的に見る役割で構いません。

段階担当主に見る項目
第1段階制作者訴求ごとの根拠資料の有無、素材のライセンス、PR表記
第2段階制作者以外の社内担当チェックリストの全項目、スマホ実機での見え方
第3段階弁護士等の外部専門家新規訴求、順位・最上級表示、身体への作用の訴求、体験談

第3段階に回す件数は限られます。逆に言えば、第1・第2段階のチェックリストの精度が、外部に相談すべき案件を拾えるかを決めます。運用しながら更新する前提で始めてください。

根拠資料は表現と1対1で対応づける

記録の残し方で失敗しやすいのが、資料は保存してあるものの、どの表現の根拠だったかが後から分からなくなるパターンです。広告文の1行ごとに根拠のファイル名やURLを紐づけた一覧を、クリエイティブ単位で作りましょう。次のものを保管しておくと、説明を求められたときに動けます。

  • 訴求の根拠となる試験結果・調査報告書・仕様書(原本と参照ページ)
  • 二重価格表示に使った比較対照価格の販売実績が分かる記録
  • 順位・最上級表示に使った調査の実施要領と集計データ
  • 依頼文、確認記録、投稿後のスクリーンショット
  • 素材のライセンス証明(購入履歴、規約の控え、モデルリリース)
  • 掲載した広告のスクリーンショットと掲載期間

保管期間は販売期間や社内の文書管理規程に合わせて決め、掲載終了後すぐ捨てる運用は避けてください。外部に委託しているなら、記録を誰が保管するかを契約時に決めます。委託先の選び方は広告代理店の選び方にまとめました。EMPLAYのWeb広告運用代行でも、入稿前の表現確認と根拠資料の受け渡しの分担を運用開始前に取り決めています。

迷ったときの相談先を先に決めておく

判断に迷ってから相談先を探し始めると入稿が止まります。相談先はあらかじめ決めて、担当者が見られる場所に書いておくのが実際的です。事業者からの相談を受け付けている公的な窓口と、個別の可否判断まで踏み込める弁護士の両方を用意しておくと、案件の性質で使い分けられます。

景品表示法については、消費者庁が景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口を設けており、このページには事業者がこれから行う企画についての相談を受け付ける旨が示されています。消費者からの情報提供窓口とは別に整理されているため、事業者として相談する際は該当のセクションを確認してください。薬機法に関わる表現は、都道府県の薬務主管課が事業者向けの相談を受けている場合があります。所在地の自治体サイトで対象を確認してから連絡してください。

公的窓口は制度の一般的な考え方を示す立場であり、個別の広告について問題ないと保証するものではありません。最終的な可否判断は、弁護士に相談したうえで自社として決める必要があります。業界団体が自主基準を持つ場合は、それも確認先に加えてください。

よくある質問

広告表現の確認について、担当者から出やすい疑問を整理しました。いずれも一般的な考え方の説明であり、個別の広告についての判断ではありません。自社のケースに当てはめる際は、根拠資料と表現案を持って弁護士や所管窓口に確認してください。制度は改正されるため、2026年9月時点の情報として扱い、各官庁の公式ページで最新の内容を確認してください。

「※個人の感想です」と書いておけば体験談を自由に使えますか

その注記があれば表示が適正になる、という関係にはありません。消費者庁は打消し表示に関する実態調査報告書を公表しており、注釈の大きさや位置によっては消費者に十分伝わっていないと評価され得る点が示されています。加えて、体験談が商品の効果を示すものなら、優良誤認表示の観点や、商材によっては薬機法・健康増進法もかかります。注記の有無ではなく、広告全体から受け取る印象で考えてください。

社員が自社商品をSNSで紹介する投稿は、ステマ規制の対象になりますか

事業者の表示にあたるかは、投稿の指示や依頼の有無、投稿内容への関与の程度などから判断されます。会社が投稿を依頼したり内容を指示したりしていれば、事業者の表示として整理される可能性があります。社員個人の自発的な投稿でも、社内ルールが曖昧だと線引きが難しくなります。消費者庁の運用基準を確認して社内ガイドラインを作り、迷ったら広告と明示する運用にしてください。

健康食品の広告で、どこまでなら書けますか

その商品が一般の食品なのか、機能性表示食品や特定保健用食品として届出・許可を受けているのか、化粧品なのかで変わります。位置づけごとに標榜できる範囲が異なるため、一律の線引きは示せません。まず消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」と厚生労働省の医薬品等適正広告基準の解説に当たり、そのうえで具体的な表現案を持って弁護士や都道府県の薬務主管課に確認してください。

広告運用を代理店に任せている場合、表現の責任はどちらにありますか

契約上の責任分担と、法令上の位置づけは別に考える必要があります。ステルスマーケティング規制について、消費者庁は規制の対象を事業者(広告主)としています。表示を行った事業者としての立場は、外部に委託しても基本的には残ると考えるのが安全です。そのうえで、入稿前の確認手順、根拠資料の授受、記録の保管責任を契約書に明記しておくと、実務上の抜けを減らせます。

まとめ

広告表現のリスク管理は、強い言葉を避けることではなく、根拠を持って言い、その根拠を残す仕組みを作ることに尽きます。要点を整理します。

  • 広告には景品表示法とステマ規制が広く関わり、商材によって薬機法・健康増進法、素材によって著作権・肖像権が重なる
  • 優良誤認・有利誤認の判断は言葉の強さではなく、合理的な根拠資料を示せるかに左右される
  • 二重価格表示は比較対照価格の販売実績、順位・最上級表示は調査の実施要領まで遡って確認する
  • 打消し表示は本文を打ち消す手段にはならない。注釈を消した本文だけの印象で判断する
  • 個別の可否判断は弁護士や消費者庁・都道府県の担当窓口に確認する。この記事は相談の下準備として使う

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株式会社EMPLAY 編集部

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